古代記アルターキンス(前編)
■アルパネスの民家
歴史家レボルニア
じゃあまあそこに腰掛けて。書かれているとおりに読むよ……
……………
クルジニアの期、呪われしものは数多の国々に災いをもたらし、
人々に禍々しい災厄として恐れられた。しかし、天より来たる
軍神リヴェリウスは度々これを打ち倒し、我らに安寧を与えた。
アルゼの神々、とりわけリヴェリウスは我らの希望であった。
ミスカルケスの期、呪われしものの災厄が収まると、人々は
大地を奪い合い、互いに殺しあった。失望した神々は我らから
恵みを奪い、貧困がより大きな貧困を、争いがより大きな争いを
起こした。我らは再び絶望した。
ミスカルケスの期が終る頃、アフラシア大陸のほぼ全土を治める
大国ができた。長い戦争に疲弊していた人々はこれを受け入れた。
神々は人々に再び恵みを与えるかどうかを見極めるため、
神の住む神域から特使を送り出した。それはクルジニアの期、
人々の希望であった軍神リヴェリウスだった。
リヴェリウスを歓待するため、その大国は国中から様々な
富と美姫を集めた。そしてその中に、アルカディアがいたのだ。
アルカディアは北方の辺境国のうら若い姫君であった。
彼女は16歳にして、才気と、気品と、類稀なる美貌を兼ね備えていた。
しかし愁うべくは、戦争当時わずか3日で国を失った彼女は、
それらの形容のすべてに冷たさを伴っていたことである。
リヴェリウスはこの美姫に心を奪われた。
ベツレヘムの期、後の女帝アルカディアの邁進が始まった……
辺境の国の王女であったアルカディアは、軍神の力を得て国々を
蹂躙し、征服した。むろん、その先頭に常にリヴェリウスの姿が
あったことは言うまでもない。
彼女の故郷を奪った大国の指導者は文字通り八つ裂きにされた。
戦争を終結させた彼の大国は、わずか1月で灰燼に帰したのだ。
アルカディアが彼女の名前を冠した帝国を築き上げたとき、
しばらくの間リヴェリウスはその姿を消した。
しかしその平穏も束の間であった。
再び人々の前に姿を現したリヴェリウスは、もはや神とは言えぬ
禍々しい姿となっていた。それはまさに、クルジニアの期に
リヴェリウス自身が敵としていた呪われしものの姿のようであった。
リヴェリウスは魔術を、そして秘法の数々を我らにもたらした。
これは恵みではない。あるじが飼い犬に与える餌と同じだ。
我々はリヴェリウスの与える不思議な術を研鑽し、させられ、
狂った軍神の尖兵として……神へ抗った……
……あの禍々しい門を使って……
……………
ふう、長かったね。いったいどういう人物がこれを書いたんだろう……
でもまだこれで全部じゃないんだ。これから残りの解読にかかるのさ。
また今の話が聞きたくなったらいつでもおいで。