記憶の接触者
■ヒンメルキント
トルテュ
よく来てくれた。
我はおぬしを探していたのだ。
ザンクトハルマで不穏な動きが続いていたが、
ついにここヒンメルキントにもその影響が現れ始めようとしている。
しかし、その渦中にあるにもかかわらず
おぬしには、まったく異なる流れを感じた。
ゆえに、おぬしには見せなければならないと思ったのだ。
皆が語ろうとしない真実を……。
もし、我の思うことが確かならば、
おぬしにはこの世界のありようを変える力があるはずだ。
……見せなければならない……。
一人の騎士と歌姫の哀しき物語を……。
……それがどのくらいの時間を表し、
そしてどの空間を示すのか、今ではわからない。
遠い遠い昔、正確な時間は既に忘れ去られ、
言の葉の伝えるわずかな思いが、
未だ記憶として我の中に留まる事を許してくれているのみ。
……さあ、見てくるのだ。
我の記憶を。
???へ
■???
ナイアーラ
やあ、こんにちは。
まだここは件の記憶の世界じゃないわ。
そうね、ここは記憶の墓場とでもいうのかしら。
長期記憶がぐちゃぐちゃに混ざり合って、
意味をなさなくなったものの廃棄場所。
で、こちらに引き込ませてもらった理由は、
キミに助言を与えようと思ったから。
訝る気持ちはわかるけれど、聞いて損はしないと思うわ。
ここから先で起こることは変えられない事実なの。
所詮は記憶の世界。
起こってしまった事を顧みているだけ。
キミが干渉しても、それは事実としては残らないわ。
そして、キミがこれから見る事実は、
自身に選択を迫ることになると思う。
ふふふ。
え?私が誰かって?ふふふ。
安心して、キミに危害を加えようとは思っていないわ。
私はただキミに真実を知ってほしいだけ。
それじゃ、足止めして悪かったわね。
そうそ、この先は記憶の世界だから、
あまり勝手に動くと、戻されちゃって記憶も消されちゃうわ。
それと、ペットを外に出せない場所があるの。
どちらも気をつけてね。
ファンブルグへ
■ファンブルグ
街人(子供)
来週は歌姫シェレジェンさまの歌の催しがあるんだ。
楽しみだなあ。
オイラ、歌姫様のサインをもらうんだぁ〜。
んとね、シェレジェンさまは
とお〜っても、きれ〜なんだよ!
楽しみ楽しみ〜。
街人(女)
この国には英雄騎士がいるのよ。
ユルグさまという名前なんだけど、
優しくて強くてその上カッコいいの。
皆の憧れなんだけれど、
実はユルグさまは歌姫のシェレジェンさまと良い仲らしいのよね。
ああ、残念。
でも、シェレジェンさまなら仕方ないかな……。
……でもいつかきっと!
街人(男)
ここはファンブルグだよ。
争いも何もない神域の加護を受ける平和な街だ。
司教
神域におわすは大いなる神々の皆様だ。
この世界は神域の方々によって守られているんだ。
その使いである精霊は教会にいつも居られるよ。
まだ謁見はできないんだけれどね。
神域の方々は偉大だよ。

ユルグ
「久しぶりだな……」
シェレジェン
「うん。前はもっと会えたのにね」
ユルグ
「忙しいって事は必要とされているってことだ。
別に気に病むことじゃない」
シェレジェン
「ユルグ……また無理してるね」
ユルグ
「そんなことはない」
シェレジェン
「ううん。肩肘を張って無理してる所とかすぐにわかるよ。
……私も同じだから」
ユルグ
「……どういう意味だ?」
シェレジェン
「きっと私も肩肘を張って無理してる……。
ほんとはただちょっと歌を歌うのが上手なだけだったのに……。
いつのまにか歌姫だなんて囃されて……全然嬉しくないよ」
注(囃されて…はやされて)
ユルグ
「……そうだな。……俺も英雄なんていう器じゃない。
でも、それでも、例え道化だとしても、
誰かが必要としてくれるならば、俺はその期待を裏切りたくはない……。
それに今は……君がいるし」
シェレジェン
「ユルグ……」
???へ
■???
ナイアーラ
そう、あの国はファーレンなの。
ふふふ。驚いた?
けれど、キミの知っているファーレンとは違うかな。
キミはまだ解っていないわね。
あれは“この世界の”ファーレンなのよ。
平和な国だったわ。
でもね、この世界は神域の恩寵に預かっていたの。
そうね、あなたの知っているファーレンとは
ちょっと違う歴史をたどった……
そう考えてもらえれば良いかしら。
神域によってもたらされた平和が続いたのは少しの間だけ。
すぐに世界は狙われたわ。
リヴェリウスという名の軍神によってね。
神域より堕するもの
……いや邪神といったほうがいいのかしら……
とにかく、神域を追放されたリヴェリウスは
神域の庇護下にあるこの世界を徹底的に蹂躙していったわ。
キミの知っている世界と同様にね。
英雄騎士であるユルグも前線に立って戦ったわ。
決して楽ではない戦いだった。
平和ゆえに戦うすべを知らなかったから、
いつ負けてもおかしくなかったの。
それでも、その戦争は何とか耐え抜いたのよね。
???へ
■???
兵士長
我々は勝てるのだろうか?
ユルグ&兵士長
「また、後退を迫られそうだな……。
できれば巻き返したいが、あの魔物たち……
動物を模している怪物のせいで、
まったく兵を進めることが出来ない。
リヴェリウスめ、とんでもないことをしてくれる」
「ええ。こちらが三人で一体をようやく倒せるというのに、
次々と増えていきますからね」
「激しい消耗で、皆の士気も落ち始めている。
兵力で確実に劣っている我らの頼みの綱は、
忸怩ながら結束力であるからな……。
士気が落ちるというのは良くないことだ」
注(忸怩…じくじ。恥ずかしく思う様)
「リヴェリウスはこの世界を憎んでいるのでしょうか……」
「我らにはリヴェリウスに攻め入られる理由などない……。
そもそも、あの軍神は我々の世界とは異なる世界に居られたはず。
神域と彼との間に何があったのかは知らぬが、
我らはその側杖を食ったことになるのだろう……」
「神域の方々に疑問を持っていらっしゃるのですか?」
「いや、そうじゃない。
ただ、俺たちは何のために戦っているのだろうかと思ってね」
「ユルグ様はシェレジェン様のために、でしょう?」
「な、なんだ、急に……。
……そうだな、違うとはいえないな。
俺は確かに彼女のために戦っている。
ファーレンのためであるとかそういったものは大義名分に過ぎない。
俺はただ、シェレジェンが健やかにすごせる世界がほしいだけだ……
傲慢なものだよ」
「……いえ、人とはそういうものです。
私も自分の家族を守りたい一心でこの場にいます。
それがただファーレンを守るという行為と一致したにすぎません」
「そうか……」
???へ
■???
ナイアーラ
突如、東方の国に巨大な化け物が現れたの。
その化け物はリヴェリウス軍の魔物を焼き払い、
ほんの数時間で本陣に肉薄したわ。
対するリヴェリウス軍は化け物にまったく太刀打ちできなかったのよ。
……結局、成す術がなくなったリヴェリウスは辛酸を舐め、
この世界から撤退したわ。
けれどね、化け物の標的は本来リヴェリウスではなかった。
リヴェリウスは“それ”を呼び込むための贄でしかなかったらしいの。
その化け物は次に、神域からの代理人である精霊を襲い始めたのよ。
そう、本当の目的は神域にあったようなの。
化け物は教会を破壊し、街を潰し、
人々を喰らいはじめたわ……。
神域にとってみれば迷惑この上なかったでしょうね。
リヴェリウスが現れたと思ったら、
すぐに化け物がやってきて世界を乱していくんだもの。
もっとも、本当に辛かったのはその世界に住む人々だったと思うわ。
なにせ、関係のないところで、戦争がおこり、
その被害が自分達の所まで及んだのだから。
神域は化け物を止めるために神の力を人に与えたわ。
でも、それはエゴでしかなかった……。
神域も正義ではなかったのよ。
???へ
■???
ドリエブ
仕方ありますまい。
神は神の手によって、始末するのみ……。
タマッシュ
ふん、己の欲のためにそこまでするとは……。
アティス
……旧き支配者の処遇は問題ですね。
ブオ
「……まさか旧き支配者を呼び込むとはな」
アティス
「リヴェリウスと共に我々も外へ追いやるつもりだったのでしょう」
ブオ
「そうはいかぬ」
タマッシュ
「世界の安定は我々神域のものの手で
もたらされなければならないのだ」
ブオ
「堕ちたあやつ……リヴェリウスはどうした?」
タマッシュ
「ふん、尻尾を巻いて逃げおった。
策にはまりおって……。
所詮はその程度の器……でなければ人に心奪われたりなどせんわ」
ブオ
「旧き支配者の目的は我らの人々に対する
深き恩寵を妨げることにある。
それを許してはならん」
タマッシュ
「そうだ、人にとって我らは神、我らは真理、我らは全て」
ブオ
「では、既に策は整っているのか?」
タマッシュ
「無論だ。慈悲深きわれらのためにその身を捧げるのは
人にとって当然の事であろう。
神降ろしによってその力を手にさえすれば、
人であっても旧き支配者を退けることができる……」
ブオ
「人にそのような力を与えて問題はないのか?」
ドリエブ
「……ええ。なにせ、人が神の力を手に入れても
それを十分に御する力など持ちますまい」
ブオ
「自ら滅ぶと?」
ドリエブ
「いいえ、滅ぶのではありません。昇華されるのですよ」
タマッシュ
「ふん。我らへの信仰心の強さは疑いを生まぬか……。愚かな」
アティス
「愚かであるから、人は我々が管理しなければならない
……そうでしょう?
それに信仰とは、承認するものであって、
証明するものではないのですよ」
タマッシュ
「……ああ」
アティス
「それでは、早速動きましょう。
あの旧き支配者様にご退場いただかなくては
世界が再生不能になってしまいます」
???へ
■???
執事タフ
シェレジェン様に話すべきであろうか……
シェレジェン&執事タフ
「リヴェリウスは去ったのに、
新たな脅威はまだ世界を蝕み続けている……。
これでは世界が壊れてしまう……。
ねえ、ユルグ、あなたは今どうしているのでしょうか?」
「シェレジェン様、ユルグ様が最後に目撃された場所がわかりました。
……教会です。
どうやら、神域の方々が力をお与え下さるというので、
ユルグ様はあの化け物を倒すための力を得るために、
教会へ向かわれたようなのです……。
その後は……シェレジェン様もご存知の通り……」
「……本当ですか?タフ?」
「ええ、手前は嘘など申しておりません……。
しかし……まさか、シェレジェン様?」
「私はユルグを探しにいきます」
「ですが……それでは……皆の希望である歌姫様がいなくなるという事……」
「私は歌姫である以前に……ユルグを想う一人の……
普通の女性なのです。
ですから、私は行かなければなりません」
「……わかりました。では後のことは
このタフにお任せください……」
「お願いしますタフ」
???へ
■???
石碑
<炎―――風を渡り―――地を―――水を越える>
所々が風化して読めなくなっている。
シェレジェン
この先に、ユルグがいるのね……。
でも、何だろう……この厭な空気……
人の哀しみが溢れ出してくるような厭な空気。
……これもあの化け物の力なの?
注(厭な…いやな)
夢魔(少女)
誰も助けてくれないの?
私何もしてないじゃない!
どうして死ななきゃいけないの!
いやよ!いや!
何で私だけ……もう、みんな、みんな道連れにしてやる!!
戦闘突入
犠牲者の魂
*戦闘開始時
あんたも一緒に連れてく!!
*召喚
あははははははッ
*気孔弾
壊れろ!
*撃破時
やだ、やだよ、死にたくないよ。いやだぁッ!
夢魔(少年)
痛いよ。痛いよ。腕が痛いよ……。
ねえ。君のそのキレイな手をボクにくれよ。
二本あるんだから一本くらいいいだろ!!
ちぎってってくれよ!!
戦闘突入
犠牲者の魂
*戦闘開始時
ウデギャもげる〜
*召喚
ぢぎっでぐれぇ〜
*吸血攻撃
うでええ、うでおぐれぇ〜
*撃破時
ヴぇヴぇヴぇぶでぎゃぐが〜
夢魔(男性)
もう間に合わないよ。ダメだよ。
いくら逃げても追いかけてくるんだ……
やだよ、ヤだよ、ヤダヨ……うがあああ
戦闘突入
浄化されぬ怨念
*戦闘開始時
た、たすけてぇ〜
*撃破時
ぐゥぼぉうえぇギャぎゅぎゅがきぇッ〜!
夢魔(少女)
ねえ……おかーさん見なかった?
おとーさんは?
みんなどこに行っちゃったのかな……
残ったのは私だけ?
嘘!そんなの嘘だ!何でそんな嘘つくの?
許さない、許さないんだから!
戦闘突入
浄化されぬ怨念
*戦闘開始時
あんたなんか嫌いだ!
*撃破時
ごめんなさいごめんなさいゆるしてゆるして
■???

半神ユルグ
「ようやく会えたな、旧き支配者……。
いまやこの世界は地獄だよ……。
いや、お前達が地獄にしたんだ。
お前達はこの世界に入ってきて全てを踏みにじった。
……掌の玉の小さな幸せさえ、お前達じゃ見逃さない。
リヴェリウス?神域?外なる神々?
そんなものは俺たちには関係なかった。なのに!」
旧き支配者
「……」
半神ユルグ
「俺は全てを犠牲にしてこの力を手に入れた。
如何なまやかしであろうとも、
今ここでお前を止められるならば、俺はそれを厭わない
……既に、この身体は不協和音を奏で、破滅のきざはしをのぼっている。
だが、それでもお前を止めることくらいは出来る」
旧き支配者
「……我は意志を持たぬ。我は己の欲望の奴隷であり、
主の命を忠実に守っているだけ。
……人よ、いや半神よ。
お前は何ゆえ我の前に立ちはだかる」
半神ユルグ
「俺はただ、何もない平生が戻ってくることを願っているだけだ」
旧き支配者
「ならば……我とお前は相容れぬな。
我が普段において求めるものは混沌である」
半神ユルグ
「御託はいい……俺はここでお前を止める。……それが全てだ」
シェレジェン
「ユルグっ!」
半神ユルグ
「シェレジェン!?……どうして、こんなところに!」
シェレジェン
「もう、やめて!こんなの、こんなのダメだよ」
旧き支配者
「やはり半神……絶対調和の心など持ち合わせてはいないな」
半神ユルグ
「うるさい。人は限られた時間を精一杯生きようとしている。
だから、うつろいやすく、安定することはない。
でも、それが人なんだ!」
シェレジェン
「ダメェッ!!」
半神ユルグ
「爆ぜ失せろ!!」
旧き支配者
「!?」
シェレジェン
「―――!」
???へ
■???
ナイアーラ
旧き支配者とユルグの戦いは神と神との戦いだった……。
その一撃は山脈を吹き飛ばし、海を蒸発させ、空を焼いたわ……。
そうして、一進一退の攻防の末、旧き支配者とユルグは共に倒れた……。
二人が倒れたことにより暴走した膨大な魔力は、
瞬く間にファーレンという国をこの世から消し去ったわ。
大きな犠牲を払い、ようやく世界は静寂を取り戻した……。
でもね、戦いの痕はあまりにも深かったのよ。
大地は瘴気で満ち溢れ、水は浄化されることはなく
腐ったままになってしまった。
生残った人々は、神域の神々に縋り、糊口を凌ぐしかなかった。
生き延びた人々の中にシェレジェンもいたわ。
けれど、発見されたときの彼女は既に変わり果てた姿になっていた。
ううん、容貌とか、そういう外面ではなく、心がね。
その後、彼女は復讐のために生きたわ。
自分の無力さを悔い、ユルグの無念を晴らすためにね。
そうして、歌姫はただ復讐心によってのみ存在し、
転生を繰り返したの……。
それから、世界が生命の営みを許すまで、長い時間がかかったわ。
さて、トルテュのお爺ちゃんの邪魔しちゃったから、
そろそろ、帰るわ。
あ、キミにもお詫びしなくちゃね。
これからきっとキミを巻き込んで今まで以上に大変なことが起こると思うの。
そのときのためにちょっとした技を教えてあげるわ。
■ヒンメルキント
トルテュ
……戻ってきたか……。
雑念が入ったようだが、大丈夫であったか?
ふむ、やはり何やら良くないことが起こりそうだ……。
だが、我はただこうして、お主に伝えることしか出来ぬ……。
おぬしにこれを託そう。
私の記憶だ……。
今後おぬしを導く礎になるだろう。
トルテュの記憶と永久称号:記憶の接触者を入手
*トルテュの記憶所持時
冒険者よ。おぬしは世界を変える力を備えているはずだ……。